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クラウドのセキュリティ新時代:Confidential Computingが実行中のデータを保護

クラウド上で実行中のデータを保護する技術「Confidential Computing」が、主要なクラウドプロバイダーによって提供が拡大しています。これにより、機密性の高いワークロードをより安全にクラウドへ移行できるようになり、データプライバシーとセキュリティが大幅に向上します。

Confidential Computing

クラウド上で実行中のデータを保護する技術「Confidential Computing」が、主要なクラウドプロバイダーによって提供が拡大しています。これにより、機密性の高いワークロードをより安全にクラウドへ移行できるようになり、データプライバシーとセキュリティが大幅に向上します。

クラウドのセキュリティ新時代:Confidential Computingが実行中のデータを保護

背景・詳細説明

従来のクラウドセキュリティ対策は、データが保管されているとき(at rest)や転送中(in transit)の暗号化が中心でした。しかし、データが実際にCPUで処理されている「実行中(in use)」の際には、メモリ上に平文で展開されるため、クラウドプロバイダーの特権ユーザー、悪意のある内部者、または高度なサイドチャネル攻撃といった脅威に対して脆弱なままでした。

Confidential Computingは、この「実行中」のデータを保護することを目的とした技術です。CPUに搭載されたセキュアなエンクレーブ(Trusted Execution Environment - TEE)を利用し、ワークロード全体(コード、データ、アプリケーションの状態)を暗号化されたメモリ領域で実行します。これにより、オペレーティングシステムやハイパーバイザー、さらにはクラウドインフラの管理者でさえも、エンクレーブ内で実行されている内容にアクセスできないようにすることが可能になります。Intel SGX、AMD SEV、ARM CCAといったハードウェアレベルの機能がその基盤となり、現在ではAWS Nitro Enclaves、Google Confidential VM、Azure Confidential Computeなど、主要なクラウドサービスとして提供が拡大しています。

エンジニアへの影響・今後の展望

Confidential Computingは、これまでクラウドへの移行が難しかった非常に機密性の高いワークロードに対して、新たなセキュリティの選択肢を提供します。

  • セキュリティ設計の進化: データベースの暗号化キー管理、個人情報や医療データなどの機密情報処理、AIモデルの推論、ブロックチェーンの検証ノードなど、これまでオンプレミスでしか難しかったユースケースを、より安全にクラウドで実行できるようになります。エンジニアは、アプリケーションの信頼境界を再考し、Confidential Computingを組み込んだ新たなセキュリティアーキテクチャを設計するスキルが求められるようになるでしょう。
  • プライバシー規制への対応強化: GDPRやCCPAといった厳格なデータプライバシー規制への準拠を強化し、企業が安心してクラウドを利用できる環境を構築します。特に金融、医療、政府機関などの分野でのクラウド利用が加速する可能性があります。
  • セキュアなマルチパーティ計算の実現: 複数の企業や組織が、互いの生データを見ることなく、共同でデータ分析や計算を行う(例:競合他社のデータを用いた共同市場分析)といった、プライバシーを保護したデータ共有・連携のユースケースが拡大します。
  • 開発エコシステムの発展: Confidential Computingを容易に活用するためのSDKやフレームワーク、コンテナオーケストレーションツールとの連携が今後さらに進むと予想されます。開発者はこれらの新しいツールや概念を学習し、セキュリティとパフォーマンスを両立させたアプリケーション開発に取り組むことになるでしょう。長期的には、ゼロトラストアーキテクチャにおける重要な基盤技術の一つとして、その適用範囲を広げていくことが期待されます。