ソフトウェアテストにおけるテストケースの組合せ数算出
この問題では、ソフトウェアのテスト計画において、複数の機能や設定オプションの組み合わせを考慮したテストケースの数を算出します。組合せ論の概念を応用し、与えられた制約条件下で有効なテストケースの総数を計算することで、テスト戦略の策定や品質保証プロセスにおける数学的アプローチを理解します。
組合せ論
この問題では、ソフトウェアのテスト計画において、複数の機能や設定オプションの組み合わせを考慮したテストケースの数を算出します。組合せ論の概念を応用し、与えられた制約条件下で有効なテストケースの総数を計算することで、テスト戦略の策定や品質保証プロセスにおける数学的アプローチを理解します。
ソフトウェアテストにおけるテストケースの組合せ数算出
あるWebアプリケーションの開発チームは、リリース前にシステムの結合テストを実施することになりました。このアプリケーションには、ユーザーが選択できる複数の機能と設定オプションが存在します。テストチームは、これらの機能とオプションのあらゆる有効な組み合わせを網羅的にテストしたいと考えています。
以下の機能とオプションが存在します。それぞれの選択肢は独立しています。
-
認証方式:
- ID/パスワード認証
- OAuth認証 (Google, GitHub, Xのいずれか1つを選択)
- 合計4つの選択肢(ID/パスワード、OAuth(Google)、OAuth(GitHub)、OAuth(X))
-
データ保存先:
- ローカルストレージ
- クラウドストレージ (AWS S3互換)
- 合計2つの選択肢
-
UIテーマ:
- ライトモード
- ダークモード
- ハイコントラストモード
- 合計3つの選択肢
-
通知設定: (これらは互いに独立してON/OFFを設定できます)
- メール通知 (ON/OFF)
- SMS通知 (ON/OFF)
- プッシュ通知 (ON/OFF)
- 合計 $2 \times 2 \times 2 = 8$ 通りの組み合わせ
-
言語設定:
- 日本語
- 英語
- 中国語
- 合計3つの選択肢
ただし、以下の制約があります。
- 制約1: OAuth認証を選択した場合、データ保存先をクラウドストレージに設定することは必須です。ローカルストレージとは組み合わせられません。
- 制約2: ハイコントラストモードのUIテーマを選択した場合、SMS通知は必ずOFFに設定されます。
上記の条件を考慮して、テストすべき有効なテストケースの総数を計算してください。
解答を見る
この問題を解くために、まず制約がない場合のテストケースの総数を計算し、次に各制約によって除外されるケースを考慮し、最後に包除原理を適用して重複する除外ケースを調整します。
ステップ1: 制約がない場合のテストケース総数の計算
各機能とオプションの選択肢の数は以下の通りです。
- 認証方式: 4種類 (ID/パスワード, OAuth(Google), OAuth(GitHub), OAuth(X))
- データ保存先: 2種類 (ローカルストレージ, クラウドストレージ)
- UIテーマ: 3種類 (ライトモード, ダークモード, ハイコントラストモード)
- 通知設定: $2 \times 2 \times 2 = 8$ 種類 (メールON/OFF, SMS ON/OFF, プッシュON/OFF)
- 言語設定: 3種類 (日本語, 英語, 中国語)
制約がない場合のテストケース総数 $N$ は、これらの積で求められます。 $N = 4 \times 2 \times 3 \times 8 \times 3 = 576$ 通り
ステップ2: 制約によって除外されるケースの計算
制約1: OAuth認証を選択した場合、データ保存先をクラウドストレージに設定することは必須。 これは、「OAuth認証」と「ローカルストレージ」の組み合わせが禁止されることを意味します。
- OAuth認証の選択肢は3種類 (OAuth(Google), OAuth(GitHub), OAuth(X))。
- データ保存先でローカルストレージは1種類。 この制約により禁止される認証方式とデータ保存先の組み合わせは $3 \times 1 = 3$ 通りです。
この3通りの禁止された組み合わせそれぞれに対して、他のオプションの組み合わせ数を掛け合わせます。
- UIテーマ: 3種類
- 通知設定: 8種類
- 言語設定: 3種類 制約1によって除外されるケースの数 $E_1 = 3 \times 3 \times 8 \times 3 = 216$ 通り。
制約2: ハイコントラストモードのUIテーマを選択した場合、SMS通知は必ずOFFに設定される。 これは、「ハイコントラストモード」と「SMS通知ON」の組み合わせが禁止されることを意味します。
- UIテーマでハイコントラストモードは1種類。
- 通知設定でSMS通知がONになる組み合わせは、メールON/OFF $\times$ SMS ON $\times$ プッシュON/OFF で $2 \times 1 \times 2 = 4$ 種類です。 この制約により禁止されるUIテーマと通知設定の組み合わせは $1 \times 4 = 4$ 通りです。
この4通りの禁止された組み合わせそれぞれに対して、他のオプションの組み合わせ数を掛け合わせます。
- 認証方式: 4種類
- データ保存先: 2種類
- 言語設定: 3種類 制約2によって除外されるケースの数 $E_2 = 4 \times 2 \times 4 \times 3 = 96$ 通り。
ステップ3: 両方の制約に同時に該当する(重複して除外される)ケースの計算
包除原理を適用するために、両方の制約に同時に該当するケースを特定します。これは、以下のすべての条件を満たす組み合わせです。
- OAuth認証のいずれか (3種類)
- データ保存先がローカルストレージ (1種類)
- UIテーマがハイコントラストモード (1種類)
- SMS通知がONとなる通知設定 (4種類)
- 言語設定 (3種類)
両方の制約に同時に該当する重複ケースの数 $E_{1 \cap 2} = 3 \times 1 \times 1 \times 4 \times 3 = 36$ 通り。
ステップ4: 包除原理による有効なテストケース総数の算出
有効なテストケースの総数は、以下の式で計算されます。 有効な総数 = (制約なしの総数) - (制約1による除外数) - (制約2による除外数) + (両方の制約に該当する重複数) 有効な総数 = $N - E_1 - E_2 + E_{1 \cap 2}$ 有効な総数 = $576 - 216 - 96 + 36$ 有効な総数 = $360 - 96 + 36$ 有効な総数 = $264 + 36$ 有効な総数 = $300$
したがって、テストすべき有効なテストケースの総数は 300通り です。
最終的な答え: 300通り